ドイツ語

Guten Tag!

はじめに・履修者へのメッセージ

Message

 いま世界は大変なことになっています。1990年に冷戦が終わった時には,誰もがこれで平和になると思ったものです。ところがその後,地域紛争や民族主義のテロで逆に混迷が深まり,日本もドイツもその中で翻弄されてきました。日本は日米同盟を最優先とする姿勢以外,倫理的,哲学的な価値観を世界に打ち出せていませんが,ドイツはナチス時代の反省から人道主義を前面に出して,内戦によるシリアなどからの難民も,ロシアの侵攻によるウクライナからの難民も積極的に受け入れています。自国の目と鼻の先での人々の生死に関わる緊急事態ですから,最重要の課題の1つなのです。翻って,日本の難民認定の割合の低さと外国人に対する劣悪な待遇は,人権軽視を疑われるレベルです。もっともドイツでも,2015年のシリア難民受け入れ議論には賛否があり,それによる国内の政治的混乱もあって,残念ながら排外主義的なポピュリズム政党も伸長しました。にもかかわらず,戦後の民主主義教育や歴史を直視しての政治教育がそれ以前に入念に行われてきたため,ナチス時代とは違って,国民全体が簡単に雰囲気に流されてしまうようなことはありません。哲学的な価値が政治の世界でかろうじてまだ生きているとも言えます。

 2022年以降,ロシアによるウクライナ侵攻を受けて,ヨーロッパ全体がエネルギー供給の危機にさらされています。ドイツは,すでに冷戦時代から,当時のソ連とのエネルギー受給での関係が深く,ここへ来て,その反省にも迫られています。一方で,再生可能エネルギーによる発電割合が約半分に達していることから,2023年4月には電力供給の数パーセントに過ぎなかった原子力発電所の完全停止に至りました。2011年に決定し,それに向けて進んできた成果です。あとは石炭火力の全廃が課題で,再生可能エネルギーの増強を急いでいます。一方の日本では,こうした政情をこれ幸いと,原発の再稼働や新設へ動き始めています。ドイツは,福島第一原発事故の後,「あれほどの科学技術先進国の日本にも管理できなかった原子力を管理することはできない」と,倫理的に許容できない存在である原発からの撤退を進めてきたのです。それにより,ドイツでは新たな産業分野の開拓や雇用の創出も可能となりましたが,思考を切り換えられなかった日本は大きなチャンスを逃しました。

 ロシアに侵攻されたウクライナに兵器を供給するべきか否か? 独ソ戦でドイツ軍が進軍したウクライナで,ドイツの戦車が走り回ることは,ロシアにとってデジャブ(既視記憶)とならないか? 議論の末,NATOレベルでのレオパルト II 戦車の供与を認めたことは,苦渋の決断でした。背後にはアメリカの世界戦略もあって,日本と異なり,アメリカとつかず離れずを旨とするヨーロッパでは,難しい対応を迫られています。

 ドイツ語を学べば,このように,英語だけでは得られないドイツ国内の生の情報が得られます。ヨーロッパの中心的存在であるドイツの国内情報は,ヨーロッパが今後どう動くかについてのさきどり情報でもあります。ドイツの動きを正しく知るにはドイツ語のニュースソースに触れる必要があります。その他,興味深い歴史を持つオーストリアやスイスについても深く知ることができます。いずれも美しい自然に恵まれた,豊かな先進国であり,ヨーロッパの文化や歴史を知り,世界を知るには重要な国々です。

 ドイツ語を学ぶことは,あなたの将来に大きな力を与えてくれ,その成果を日本社会の今後にも還元できるような広い視野を得ることにつながります。そのためのチャンネルを手に入れませんか? さあ,ご一緒に始めましょう!

 Herzlich willkommen!  「ようこそ!」


説明会動画もあわせてご覧ください

法学部におけるドイツ語について

法律学にとっても政治学にとっても、ドイツ語はとても重要な外国語です。専門の勉強が進むにつれ、講義の中などで当たり前のようにドイツ語の概念や術語が用いられる場面も出てくることでしょう。単語レベルならまだしも、専門文献を読みこなす必要に迫られた場合など、付け焼刃では困難が大きすぎます。1~2年次にドイツ語の仕組みを基礎からきちんと身につけておけば、大きなアドバンテージとなるはずです。

驚くべき深さと厚みをもつドイツ語圏の文化や、負の側面も含めたドイツの歴史にも目を向けてほしいものです。法学部では、語学の授業以外にも、講義科目の「地域文化論」や、「人文科学特論」などの中から関連するものを選び、ドイツ語圏の文化に関する知見を深めることが可能です。3・4年次には三田キャンパスに、より専門的な少人数ゼミ形式の「人文科学研究会」が開設されています。

コース紹介

Courses

初めてドイツ語を学ぶ新入生諸君は、目標に応じてレギュラーコースかインテンシブコースのいずれかを選ぶことになります。

レギュラーコース

90分×週2回授業で、発音から始めて1年次のうちに基礎文法を修了、2年次の終わりには高度な内容の文章を読みこなせるようになることを目指します。
→「英語以外の語種の選択肢(コード)一覧表」での選択肢は「ドイツ語」

インテンシブコース

日本語母語話者とネイティブの教員の授業をセットで90分×週4回、それを3年間以上継続し、「読む」「書く」「聴く」「話す」4技能をいずれも高いレベルで修得することを目指す一貫したカリキュラムとして構想されています。レベル判定のためのテストの結果により、インテンシブコース中級を履修することもできます。海外研修の機会もあります。「英語以外の語種の選択肢(コード)一覧表」では「ドイツ語インテンシブ」を選んでください。詳しくはドイツ語のページを参照してください。

検定試験について

インテンシブコースでは、1年次にドイツ語技能検定試験(独検)3級全員合格、2年次には同2級全員合格(意欲的な人は準1級)を目指します。また、ゲーテ・インスティトゥート初級修了試験Goethe-Zertifikat B1合格が2年次の最終目標です。
3年次では、独検準1級・1級、Goethe-Zertifikat C1(中級修了)が目標となります。

ドイツ語の特徴

Special features of German

とかくドイツ語は「文法の規則が多くて大変」と敬遠されがちのようです。
しかし、ドイツ語の仕組みは実は非常に理路整然とできていて決して複雑すぎず、「英語以外」の語学の手始めとしてとても良い頃合いだと思います。ドイツ語学習を通じて身につく文法的な考え方は、さらに他の言語を学ぼうとする際に必ず役立ちます。また、英語についても今まで見えていなかった事柄が見えてきて、ぐっと理解が深まったと実感することになると思います。確かにドイツ語は、ズボラで大雑把な人よりは、どちらかと言えば几帳面で地道にこつこつ頑張る真面目な人の方が向いているかもしれません。
しかし、ズボラで身につく語学があるのかといえば、はなはだ疑問ですね。

教員紹介

Faculty

ドイツ語研修・留学について

インテンシブコースでは、毎年3月に3週間の「ドイツ語インテンシブ海外研修」を実施しており、受講者は優先的に参加することができます。
法学部・法学研究科には独自の交換留学制度があり、ベルリーン・フンボルト大学とフライブルク大学への1年間の留学のチャンスがあります。
また国際センターの派遣交換留学の提携校はドイツ語圏に16大学もあり、ドイツ語を学んだ多くの学生が毎年応募して採用され、1年間、ドイツ語圏の大学で学んでいます。

ドイツ語独自サイトのご紹介

 法学部ドイツ語ホームページでは、ドイツ語の魅力や便利な学習ツールの紹介など、より詳細な情報を続々発信しています。

各言語と授業を知ろう

Features of each language and the language classes